名古屋・栄での今年最初のレギュラー講座。テーマはずばり、”ダンマ”――仏教と呼ぶより、はるかにブッダの教えに近づける言葉だ(慣れるまで聞こえは怪しいけれど笑)。
特に今日は、宗教と長く関わってきた人が来ていたから、宗教とダンマの違いをお話してみた。伝わったかな・・。
執着が強い人は、宗教のほうに親しみを感じるものだ。というのも、現実逃避を求めているにせよ、ご利益を期待しているにせよ、その執着に応えてくれる妄想に惹かれるものだからだ。
最初に執着があり、叶えてくれそうな妄想を探す。その妄想を形にしてくれると予感した宗教に惹かれる。そして「信じる」段階に入っていく。
信じることが最初に来るのではなく、本人が自覚していない執着が前提としてあるのである。
その執着は、現実から逃れたいという思いかもしれないし、承認欲を満たしたいという我欲(上昇欲)かもしれないし、心の空洞を埋めたいという願いかもしれない。
そうした執着状態にある心が、「それらしい妄想」(理屈)に触れると、「きっとこれが答えに違いない」と興奮して、飛びついてしまうのだ。
だが、そうしたものに飛びついても、問題は解決しない。
宗教という名の妄想をエサにして、執着が生き永らえるだけだ。
足元にある原因を、つまりは執着を自覚していないからである。
本当は足元を掘り起こして、いったい自分は何に執着しているのかを自覚することが近道、というか唯一の解決策だ。
自覚できれば、捨てることも可能になる。あとはその方法を知って、実践すればいいだけになる。
ブッダが伝えた、一切の苦しみには原因があって、だがその原因は誰でも取り除けるし、その方法がある、だから後は実践するだけであるという言葉は、そうした真実を語っている。
まったく難しくない。そのシンプルな真実をひっくるめて”ダンマ”と呼んでいるのだ。
本来のブッダの教えは、宗教とはまったく違う。真逆だ。宗教という名の妄想を克服するための方法を体系化したものだ。
心をめぐる問題に、答えがない問いは、実は存在しない。答えがない、考えてもわからないように見えるのは、自分の心が妄想によって曇らされているからだ。
心の苦しみについては、ほぼ百パーセントと言っていい確率で、抜け出せる。そもそもその苦しみは、心の中になかったものだ。今もまた、形も重さもない。実体のない(いわゆる無常)なものだからだ。
唯一必要なものは、ダンマ、つまり心の苦しみを抜ける方法だ。
その方法を受け入れるか。行動に移すか。それだけだ。もはや理屈ではない。考えることではない。やるか、やらないか。進むか、退がるか。受け容れるか、拒絶するかだ。
苦しみを抱えてさまよい続けてきた人が、ダンマに目覚めて苦しみを抜け、「この生き方で間違いない」という確信を持てるようになること。
それが、この場所の目的だ。時間はかかることが当然。そんな生き方しか知らなかったのだから。
焦らずに学んでもらえたら(自己理解を深めてもらえたら)と思う。
言葉は難しく聞こえるかもしれないが、伝える中身は、すべて友情に似た思いから発している。この命は、出会うことを喜びとする性質を持っている。よく来たねと毎回心の中でエールを送っている。
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大阪に宿を探そうとしたが、どこも高い! 例のイベントが始まってしまったためか。
日本の政治は不可解だ。カネの使い方がメチャクチャだ。
政策と予算は、第一に人々の雇用を安定させ、いざという時のセーフティネットを充実させることが基本だ。右も左も、保守も革新もない。基本である。
「結婚しようか」「子供を育ててみようか」と思えるくらいに、収入・生活が安定すること。これを第一の国家目標に据えて、政策を更新し、予算を重点配分すること。
これがある程度達成できて初めて、その他に予算を使うことが可能になる。そうした状況なら「万博でもやってみようか」という声が上がってもよい。
主と従、優先順位、基本とオマケを間違えないこと。
これは政策という思考の手順みたいなもので、例外はない。あってはいけない。
ところが、今の政治は例外も原則も滅茶苦茶になったままだ。万博開催と、昨年89万人、14年連続で人口減という話題が、ほぼ同時に上がってくるという不条理まで起きている。
この2つの話題は、実はつながっている。この国の病的迷走の象徴だ。迷走の結果そのものだ。
最も憂慮すべきは、この迷走を止めるための方針が、わからなくなっていることだ。政治家だけではなく、多くの市民が、方針とはどういうものかを思い出せなくなっている。
政治・政策の基本さえわからなくなった国。政治家だけではなく、見抜けない国民もまた、きっと同類なのだ。
明日は野宿でもしようか。何も残らぬ狂騒につきあって高い宿に泊まるよりは、せめてこの身くらいはまともな姿を保って、つつましく野ざらしでいるほうがいい。
2025年4月15日
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