新しい職場・新しい仕事2


春の到来にちなんで、働き方編2をお届けします:

仕事とは面白いもので、その中身も評価も、自分では決められません。あくまで自分の働きが役に立っているか、評価されるかは、周りの人、その仕事を受ける人が決めるものです。

これは「ままならないストレス」かというと、そうでもなくて、「自分で決める必要はなくて、お任せでいい」と気楽に受け止めることも可能です。

たとえば、体を使う仕事で、足が不自由で走ったり、重たいものを持ったりすることができなくなってきた・・という場合。

そうした自分をヨシとするかは、本人の仕事観にもよるので、「本人がそんな自分に納得いかない」と思うなら、仕事を変える(辞退する・転職する)ことも、正解たりえます。正解かどうかは、その後の展開次第(自分の頑張り次第・周囲の受け止め方次第・相性次第・・)によるので。

でもその一方で、自分で答えを出す必要もなくて、「こんな状態ですが、仕事として成り立つでしょうか?」というのは、周囲の人に聞いてみてもよいのです。多くの仕事はチームでやるものだから。

ある作業が、自分の健康状態が原因で十分できない・・その状態を見てもらって、他の人がカバーしてくれて、他の人もそれでもいいと思ってくれるなら、

今の自分ができることは、なお仕事として十分に通用します。

周りのサポートを受ける分、別のことで貢献しようと考えることも可能です。

「迷惑をかけるから申しわけない」と思う。でも「辞めたくない」とも思う。そういう時は、そうした思いを丸ごとその職場・チームに伝えてみればよいのです。


一番つらくなるのは、自分一人で抱え込んで、自分一人で答えを出そうとしてしまうことです。こうなると、「辞めたくない」は自分のエゴで、「きっと務まらない」という思いが勝っていきます。

特に、自分一人で答えを出すこと、一人で抱え込むことに慣れてきた人(いわば業ということになりますが)は、そうした状況に陥りがちです。

別の角度で見てみれば、仕事というのはある程度は利己的でも良くて、やりたいと思うなら、辞めろと言われるまではやり続けることが正解だったりします。

(特に障害を抱えながら働いている人には、これはけっこう大事なポイントになります。生きる権利、働く権利を通すということ。社会は大きな布団みたいなところもあって、自分一人分載っても、大丈夫なくらいに大きな場所でもあります)。




もうひとつ、新しい仕事に向かう心構えは、「とにかく今できる、役に立てることを引き受ける」ことです。

たとえば、すぐに始められる仕事・職場があるけれど、別の仕事が本当は第一希望で、でもその仕事には現時点で空きがない・・という場合。

この場合、空きが出るまで待つことは(状況にもよるでしょうが)正しい選択ではないような気がします。

というのも、求められていて、できるかもしれないなら、それを引き受けて体験してみて、学びつつ、できる範囲を広げて、できるレベルを上げていくというのが、

自分にとっても、その職場・仕事にとっても、確実なプラスだからです。

そしてそういう自分を作って(準備して)おけば、そのうち、もっとやりたい・向いている職場・仕事からお声がかかるかもしれなくて、その時に新しい仕事を選ぶなら、元いた場所からは惜しまれつつ(あるいは感謝されつつ)離れて、自分がやりたかった仕事に就くことも可能になります。

「自分にはできないかも」「難易度が高いかも」というのは、妄想であることが多くて、「やっていた・やっている人もいるんだから、わたしにもできるかもしれない」と思うほうが正しかったりします。

「できるかも」から入って、やってみて、体験を通じてやり方を学んで、実際にできるレベルに持っていく――というのが、誰もが踏んでいるステップです。

最初からできる人なんていなくて、単に「できるかも」という入り口に立って、その後のステップを進んでいったから、結果的にできているのです。



新しい仕事の入り口としては、「やってみたい」「できるかも」というポジティブな入り方と、「やりたくない」「きっとできない」というネガティブな入り方とがありますが、

「やりたくない」は仕方ない(それが本人の気持ちなら終わるしかない)としても、

「きっとできない」というのは、やってもいないうちに判断できるはずもなく、確実に妄想ということになります。

「きっとできない」と「できるかも」は、両方、体験する前の妄想でしかなくて、客観的な状況としては、実は同じです。

なぜ前者に心の針が振れる人と、後者に傾く人がいるのかといえば、やはり過去や業(性格)だったりします。



理想は、やっていないことは、とりあえず「できるかも」という箱に入れてしまうことです。

お声がかかっているなら、断らないことです。仕事は、関わり次第、相手次第であって、自分一人では決められない。自分で全部答えを出すという発想で出した答えが、正しかった確率は、実は自分が思うほど高くなかったりします。

「お声をかけていただいてありがとうございます。私に務まるかどうかわかりませんが、しっかり頑張ります」でよいのです。

頑張るというのは、「体験することを頑張る」という意味です。これは自分の中で補っておけばよく、相手に伝える必要はありません。

体験して、できることを増やして、結果的に貢献できる自分になる、というステップさえ見えていればいいのです。

とりわけ、仕事は人間関係(理解ある人が周りにいるかどうか)で大きく左右されるので、自分のことを買ってくれている、わかってくれている人がその場所にいるなら、条件はそろっています。

「やりたい職場には空きがない」なら、なおさらです。客観的に「できるかも(でも実際はこれから)」という状況は、やりたくても今はできない職場も、今まさに求められている職場も変わらない。

ならば、求められている職場に応えて働きを果たす、ことしか答えはないのでは?

ひょいひょいと乗ってみればよいのです(難しいかもしれませんが)。

できるかな、やってみようか、やってみます!でよかったりするのです。