出家の秋

<おしらせ> 

11月1日(土)18:00~21:30
座禅会

11月2日(日)18:00~21:30
特別講座 仏教で思い出そう「あの日の幸福」を

*詳しくは公式カレンダーをご覧ください。
*東京での講座は年内最後となる可能性があります。

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東京も急に寒くなりました。

サラ(猫)の家も冬仕様に(ボックス内に毛布を敷く。今年は素直に入ってくれました)。私も冬物を取り出しました。

そろそろ新しいものを買っていいかなと少し探しましたが、安いものは、ぜんぶ売り切れ。後はお金持ち、あるいは服にお金をかけていい人向けの、出家目線からすると見上げてしまうような値段の代物。

とはいえ実際の額を言えば、全然高くなくて笑われてしまうかも。


この貧乏性というかしみったれ根性は、育ちのせい。

考えてみたら、十代も貧乏。二十代も貧乏。三十代も貧乏(というか出家してからは無収入)。

四十代で日本に帰ってきて、貯金通帳見たら2万円しか残っておらず、転がり込んだ部屋に、段ボール箱で机作って、魚屋でもらった発泡スチロール箱に百均で買った氷入れて簡易冷蔵庫にして(冬は窓の外に吊るせば足りた。自然冷蔵庫w)。


当時の私に同情してくれたのか、ある人がチャージ入りのSuica(交通IC)をくださった。改札通るのもドキドキ(いよいよ妄想ワールドに突入した気がした)。

冬に毛糸の帽子をくれた人もいた。おおお!(あたたかくて感動)

冷蔵庫をくれた人もいた。これで夏もひと安心。

電子レンジをくれた人もいた。冷たかったものがチンすれば湯気を立てる。マジック(魔法)!

2度目か3度目かの冬に、灯油ストーブを買った。寒い冬の朝に「ボッ」と火がつくあの感動。

安いトースターを買った(安売りで2000円だったトースターを奮発)。みるみるこんがり焼けていく姿に感動(なぜか縄文時代の暮らしを連想した。それだけ感動したということらしい)。

一番ドキドキしたのは、百均でゼムクリップを買った時。どうせ全部使わない。なのに買う? 百円がものすごく贅沢に感じる・・「許される? 許されない? 許されるよね?」と自問自答してようやく購入。

 
いくつかのこんな鮮明な感動が記憶に残っています。いや、よく生き延びた――。
 

※ちなみに、なぜそこまで??と思われるかもしれない半生については、ただいま連載中の『ブッダを探して』で少し触れていく予定です(来年2月連載終了)。

 

貧乏性のDNAは入れ替わるわけではないので、この先も貧乏性で生きていくことになると思います。

なので、冬服も同じものを。まだまだ使えそう。どうせ春になるし。

「どうせ春になるし」は、冬を凌ぐための出家のキラーワード。2年前に札幌に行った時に、東京と違ってずいぶん寒く、古着屋に行ったら冬物ジャケットが1500円。

500円なら、あるいは1000円までだったら買っていたかもしれない・・でも1500円というビミョーな値段。こういう「ガラスの天井」が多い。ものすごく多い。

どうしようかな・・と思案した時に浮かんだのが、「どうせ春になるしな」という言葉。

で買わずにしのいで、結局、本当に春になったのでした! すごい!


ここから秋、冬と旅が続きます。寒さを噛み締めることにも妙な至福を感じてしまう(>w<*)のが、出家の性分です。

どんな寒さに出会えるか、と想像すると胸がときめきます。


年々短くなるであろう日本の秋と冬を愛おしみましょう、みなさん(誰に呼びかけてんねん)。


2025年10月中旬