モンスター祖母(モンババ)

とある場所で出てきた話題:


子供(自分)の側が親にいつの間にか執着してしまっていた、ということはよくあります。

自分自身がもっと昔に取り込んでしまった親のイメージに、自分自身が執着していて、その陰に怯えて、勝手に反応してしまっていたという場合です。

この場合は、自分の側の執着に気づいて、いざ意を決して親に話をすると、親の側はそれほど執着していなくて、あっけなく距離を取れたりすることがあります。

もっとも、親も自分も、心という狡猾なものを持っているので、現時点で見えるものが正しい理解とは最後までわかりません。気は抜けない(油断してはいけない)ということです。



今回出てきた知人の女性については、いっそう要注意です。

母親というのは外面はすさまじくよいのです。名女優以上の演技ができてしまいます。

だから家の中で娘にどう接しているかは、外の人にはわかりません。とんでもない毒親・鬼親である可能性もあります。

思いやりや気遣いというのが、自分に有利になるようにという打算計算から来ていることもあります。「いい人(親切)」を演じることで、自己愛(承認欲)を満たしていることもよくあります。

こういう場合はたいてい、母親中心――母親にとっては自分自身が一番可愛くて、自分が輝いていなければいけないという前提に立っているので、

母親ファーストで、娘はつねに脇役という位置に置かれたりします。

そうすると、子供は自尊心を奪われ、自己肯定感が低く、外で人間関係を作ることが苦手というか苦痛にさえなってしまうこともあります。

こういう母親ファーストな母親というのは、いろんな類型があります。

完全に娘を支配している場合(はっきりと指示・命令・干渉している場合)、

娘を自己愛の餌にして、母親の凄さをことあるごとにアピールして、「母は偉いけど私はダメ」という自己否定を刷り込んで(いわば洗脳して)しまっている場合など、

いろんな場合があるものですが、共通するのは、

母親が病的に自己中(しかも自覚無し)であることです。 

自分の思惑しか見えないので、心の境界線を簡単に越境・侵蝕して、娘の心を傷つけ続けるのです。

こうした母親は無反省のまま、娘の自尊心や生きようという意欲を奪い続けます。


その最果ての姿が”モンスター祖母”、通称”モンババ”です(通称と言っても勝手にここで名付けただけですが笑)。

モンババは、いろんな場所に棲息しています。一見優しげに見えるし、外では常識的な人、それどころか活躍している人に見せるすべてに長けているので、外の人には正体がわかりません。

それでも、娘の側から母親を突き放すことは、凄まじく勇気がいる、難しいことでもあるので(※)、

娘が関係性のおかしさに気づき始めるまで、かなりの時間を要します。

※「あなたのためよ」と優しい母を演じたり、自立の芽を摘んでおいて娘が持っていないものを突如突いて(攻撃して)反論を塞いだり、同情を引くようなことを言ってみたり、お金などのメリットで懐柔したり、あからさまに抑圧して異論を封じ込んだり・・ほんとにさまざまです。


人間の心というのは、本当に狡猾で計算高くて自己愛に満ちたおぞましいものだったりします。

家の中のホラーに早く気づいてもらえたら、と思います。

モンババの退治法については、この本で(筑摩書房刊)