この地に学校を建ててから、十六年目。地道に続けてきた。着実に育ってきた。
私が日本から持ってくるのはお金。学校を日頃支えているのは、現地の仲間たち。
校長、教頭、中心スタッフは、創立以来の付き合いだ。残念ながら、先生たちは入れ替わることが多い。コロナの3年で、以前の先生たちは一人もいなくなってしまった。結婚して退職するケースも多い。
独立記念日(1月26日)は全生徒で村を行進
牛さんも見守ります
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2月は学校創立記念祭。2日かけて、子供たちがダンスやドラマを発表する。学校になじめなかった子が、このイベントをきっかけに元気を取り戻すことも多い。
ダンスが上手な子が真ん中で、その子にあわせて周囲の子が踊って見せる。テキトーに見えなくもないが、みんな楽しくやっているからなんの問題もないw。
村人や近郊の町の大人たちまで見物に来る。出店も出る。鼓膜が、いや全身が文字どおり震えるほどの大音量で音楽を鳴らし、子供たちが壇上で踊ったり芝居したり。
ちなみにインドでは、ほぼ毎日のように大音量の音楽が、どこからか響いてくる。今年はラマ生誕祭、我らの学校以外の学校行事、結婚式。
最近2日にわたって村で挙行された結婚式では、最新型の音響機器を借りて、夜通し音楽を鳴らし続けた。結婚式で音楽を鳴らすというより、音楽を鳴らしたくて結婚するというくらいに、インド人は音楽好き。
村のど真ん中で開かれた結婚式
インドではこれが日常なので、みんな平気。私も慣れてしまった。音楽がない静かな日には、「どうした?」とふと気にかかるくらいになった(笑)。日本なら即クレームに乗り込んでくるかもしれない。
最近村を回るようになったゴミ収集車さえ、大音量で歌いながら走るのだ。「みんな、ぼくにゴミを捨てよう♪」みたいな歌詞らしい(楽しいかも)。考えてみれば、この歌好き・音楽愛もまた、インド人の自己肯定感を育てているのかもしれない。
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2日にわたる熱く激しい記念祭が終了。最後にメッセージ。「燃え尽きましたか?(アグ・ラガド?)」と、覚えたての現地語で聞くと、みんな笑う。「来年は私もダンスに参加します」と、子供たちをまねて踊って見せる。もう十六年経つ恒例行事だから、私も村人たちも慣れたもの。
打ち上げの食事は、村の婦人たちが用意して、大人たちが奉仕する。地域行事は手伝うものという良識がまだ多数の人々の中にあるから、自然に進む。
夜に入っても食事会は続く
調理はいつもの村の婦人たち 敬服します
2024年2月